第101回白眉セミナー : 『光合成をやめ、菌に寄生する植物たちの不思議な生活』
- 末次 健司 (京都大学白眉センター)
- 2015/10/06 4:30pm
- 白眉センター(iCeMS西館2階 会議室)
- 日本語(スライドは英語表記)
要旨
皆さんは「植物の特徴は?」と聞かれた場合、どのように答えるでしょうか。多くの人が「葉緑素を持ち、光合成を行うこと」を挙げるのではないでしょうか。しかし、植物の中には光合成をやめ、菌類や他の植物に寄生して一方的に栄養を搾取して生きているものが存在します。この光合成をやめた植物の生き様の解明が、私の研究テーマです。
しかし光合成をやめた植物の研究は困難を極めます。光合成をやめた植物は、葉を展開する必要がないので、開花、結実期以外は地上に姿を現しません。地上に姿を現す期間が1年のうち2週間程度のものも存在します。また彼らは小型で地上に現れていたとしても発見困難です。そのため、私は、山中で地を這いつくばりながら何日も過ごすといったこともしばしばです。そうして野外観察を行う過程で、光合成をやめた植物は、送粉共生や種子散布共生といった他の生物との共生関係を変化させ「驚くべき生活」をしていることがわかってきました。その生活の一端を、光合成をやめた植物の実物とともに、紹介したいと思います。
なお、今回はセミナー冒頭に、4期の置田さんに留学報告をして頂く予定です。(英国オックスフォード大学、スーパー・ジョン万プログラムによって支援)