第255回白眉セミナー : 野生動物保全における地域知と科学の間:いかにして両者は手を組めるのか?
  • 本郷峻 特定講師(14期・アジア・アフリカ地域研究研究科)
  • 2024/10/01 4:45pm
  • 学術研究支援棟地下会議室1&2
  • 英語
  • オンサイト

要旨

生物多様性の喪失は、気候変動とならぶ地球規模の環境問題である。地球上で最も生物多様性が高い熱帯雨林地域においては、肉の消費と売買を目的とした地域住民による狩猟が、哺乳類をはじめとする中大型動物の絶滅や減少の主なリスクのひとつとなっている。したがって、野生動物の多様性、地域の生活、文化の多様性のすべてを保全するためには、地域の狩猟をマネジメントすることが急務だといえる。ただし、地域主体で持続的な狩猟マネジメントをおこなうためには、科学的証拠のみに基づいて科学者や保全行政が「トップダウン式」で行うアプローチではなく、狩猟者の地域知と科学とをうまく組み合わせた「共同製作式」のアプロ―チが必要になる。本セミナーでは、野生動物保全における地域知と科学の協力と失敗の歴史を概観したあと、私のこれまでの研究を紹介しながら、この2つの異なる知識体系とステークホルダーがいかにして協力できるのか、みなさんと議論したい。

関連する研究者

本郷 峻