第235回白眉セミナー : 「憲法上の自由と空間へのアクセス保障」
- 門田 美貴 法学研究科 13期 助教
- 2023/09/19 4:45pm
- 学術研究支援棟地下会議室1&2(および Zoom)
- 英語
- オンサイト、Zoom
要旨
人間のあらゆる活動には空間が必要である。憲法上保障された諸自由――表現の自由、集会の自由、移動の自由など――もその例外ではない。こうした自由の行使に必要となる空間を常に個人が調達できるとは限らない状況で、国家が管理する典型的な公共空間――道路や公園、公共広場など――がこうした自由に仕えてきた。しかしながら、近時、公共空間をとりまく環境変化により自由への否定的な影響が指摘されている。一つは民営化・私化(privatization)であり、もう一つは公共空間の広範な監視である。これらの現象は、一方では私人に空間を譲り渡すことによって憲法による拘束を回避するかたちで自由の行使可能性が縮減され、他方で公共空間による監視を怯える個人が自由の行使を控えるおそれが生じ、自由が画餅と帰する可能性すら指摘される。これまでの研究とこれからの研究プロジェクトを概観することによって、どのように憲法学が「自由かつ平等な空間」としての公共空間を取り戻すことができるのか、その道筋を示したい。