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2年間の白眉での日々を経て、2015年4月より関西学院大学文学部西洋史学専修で准教授として働いています。高原の楽園を思わせるような素敵なキャンパスで、素直で優秀な学生を相手に、毎日楽しくやっています。担当授業コマ数は、だいたい週に5コマ+αといったところでしょうか。3回生、4回生向けの専門ゼミ、英書講読、ラテン語入門、1回生向けの人文学入門ゼミなどを担当しています。教務での最大の目標は、毎年10名前後のギリシア・ローマ史(わたしの専門)のゼミに所属する学生に、きちんとした卒業論文を書いてもらって、無事に社会に飛び立ってもらうことです。
白眉での生活と今の生活の違いは、よい点・悪い点、いろいろあります。一つずつあげましょう。よい点は、(とりあえずは)安定したポジションで教育と研究を続けていくことのできる見通しが得られたことです。白眉を含めて10年ほど奨学金やフェローシップに応募し続けて、もちろんそれはそれでエキサイティングで得るところの大きい人生でしたが、当面は公募に出さなくてもいいという安心感は、家族とともに生きていくという点だけでなく、研究を長期的なスパンで考えることができるという点でも、大きな助けとなっています。悪い点は、よい点と表裏一体なのかもしれませんが、生活の中での研究の優先順位を下げざるを得ないという点です。一般の教員の最大の義務は、校務と教育です。もちろん、今在籍している大学は、教員の研究を大いに奨励し援助してくれますが、研究への実際上の時間配分は、白眉の時のようにはいきません。白眉が特別待遇なので、これは当たり前なのですが。正直に申し上げて、わたしはこの変化にまだ戸惑っています。どうしたら、自分にしかできない、世界に向けた研究を、継続していくことができるのか。おそらく、多くの白眉が直面している、もしくはしていく問題だと思います。白眉の頃の刺激的な仲間を思い出しつつ、またこれからも白眉の在・離籍者と交流しながら、この壁をなんとか越えていきたいと思います。
(ふじい たかし)