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昨年3月より、長崎大学・大学院医歯薬学総合研究科(薬学部)において、教育・研究に携わる幸運を頂きました。現在は研究室を立ち上げるという、研究者人生の中でも一大イベントの真っ只中におります。長崎大学薬学部は、ノーベル賞受賞者の下村脩先生を輩出した日本最古の歴史を誇る薬学部の1つでありますが、最近になって分析究理所(本学薬学部の前身)の遺跡が新たに見つかったことにより、さらに歴史を深めることになるかもしれないそうです。そんな 120 年以上の歴史を持つ本学薬学部で、大変光栄なことに私は女性初の教授ということで、(色々な意味で)恐れおののきながら着任の日を迎えたのをよく覚えております。
私は核酸化学を専門にしており、核酸を愛しております。様々な人工核酸を開発して核酸医薬などへの応用を夢見ておりますが、化学に立脚しながら機能性分子を創製することをライフワークとしている身として、本学で引き継いだ講座名は「機能性分子化学」。まさに自分の研究にピッタリだと大変嬉しく思っております。毎日を無我夢中で忙しく動き回り、飛んでくる球をひたすら打ち返す日々ですが、異動して約1 年半が経過し、少しずつ落ち着いてきますと、改めて自分の置かれた状況や厳しさを再認識しております。特に地方大学におりますと、間接経費をいかに取ってくるかが重要任務の1つであり、スグに役立ち実用化される(=外部資金を取ってきやすい)研究を求められます。私は創薬を目指して研究をしておりますので、「役に立つ」と言いやすい分野ではありますが、それでも研究のモチベーションは知的好奇心です。「役に立つ」ことばかり求められますと、心が折れてしまいそうになることがあります。
ですが、そんな時に白眉での日々を思い出します。知的好奇心の赴くままに分野を跨いでディスカッションし、議論を深めていく(時にはお酒を片手に)。当時は当たり前だった光景を、今は思い出しては自分を鼓舞しております。白眉を出た今としては、その環境に戻ることは難しいですが、それでも本学で、自分の人生の中で研究に携わる時間を長く得れたことを幸せに思っております。今、白眉研究者に恩返し出来ることは、ポスト白眉の日常から成果を出し、白眉の名を世に知らしめることです!長崎からも「白眉らしいね」と言われる様なユニークな研究を発信出来る様、日々精進したいと思っております!!
研究室対抗ボーリング大会に初参加・第6位(15研究室中)!
(やまよし あさこ)