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気づけば、京都から愛媛に移り一年が経とうとしています。愛媛大学は地方大学としては珍しく、宇宙科学を推進するための組織として宇宙進化研究センターを設置しています。縁あってこのセンターに教授として着任してからは、天文学・宇宙物理学を軸とした教育と研究に邁進する日々を過ごしています。現在の私の研究グループは、研究員1名、大学院生が博士と修士のそれぞれの課程に1名と2名、あと数名の学部生というコンパクトな構成で、アットホームな雰囲気の中で(と思っているのは私だけという可能性もありますが…)銀河進化や巨大ブラックホールの形成進化を観測的に解明するための研究に取り組んでいます。
白眉センターにいた頃に比べると授業や会議などの仕事がずいぶん増えましたが、それは想定の範囲内の変化と言えます。
むしろ想定していなかったのは、国立天文台や宇宙科学研究所といった研究機関の各種委員会の外部委員や、研究分野の将来計画検討に関わること、全国共同利用の研究に係る審査委員など、自分が属する研究業界を支える立場での仕事に関わる機会が一気に増えたことです。そうした仕事を進めるためには、自分が直接関わったことのない研究内容に対しても想像力を働かせ、その意義や背後にあるストーリーに思いを巡らすことが求められます。このような場面では、白眉センター在籍時にセミナーや合宿企画などで多様な分野の研究者と楽しんできた異分野交流の経験が大いに役立っています。
白眉センターからは離れた私ですが、これからの研究生活の中で「京都大学白眉研究者」という称号をいただいた立場だからこそできることは何だろう、ということを考えています。いつか白眉センター出身者が連携して、既存の学術の枠組を超えたチャレンジに取り組めたらいいな、と夢想しつつ、当面の教育研究業務に励む日々を過ごしています。
愛媛大学宇宙進化研究センターの研究室にて、ゼミ風景。
(ながお とおる)