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学部から博士まで8年間(1年間留学していたので)通っていた駒場キャンパスに3年ぶりに出戻りました。学部のころからあちこちうろうろしていたこともあり、久しぶりのキャンパスでは行き会う人々に「あれ、しばらく見なかったね」と温かく?迎えていただきました。
所属先の「科学技術インタープリター養成部門」は、全学の大学院生を対象とした副専攻プログラムを提供しています。「科学と社会をつなぐ架け橋」を掲げ、異分野の大学院生が理科教育、博物館の在り方から昨今話題のクリスパーキャス9、水素水、人工知能、シンゴジラまでを熱く語り合う場です。私の仕事は彼らの議論に燃料投下をしたり、自分が開催するワークショップに巻き込んだりなど、事務・教務仕事が増えた以外は白眉時代とやっていることはたいして変わっていなかったりします。
大学院生の彼らは「科学コミュニケーションとは何か」「異分野コミュニケーションを促進するにはどうすればよいのか」を真剣に考えています。その答えは一つではありません。しかし白眉での経験からするに必要なのは自由に思考する時間を研究者に与え、みんなで美味しいものを囲んで夜更けまで語り合うというシンプルな、でも今の大学環境では意外と簡単ではない条件が必要なのではないかなと考えます。
また、離れてしまっても、あるいは時間がたってもそのつながりは続くでしょうか。それを担保するには共有する価値や拠り所が必要になってきます。白眉では、イベントや刊行物をともに作り上げることで共有してきた価値があります。だから今でも他愛のない話題でメールをしあう人がいたり、専門家として仕事を依頼したりされたりさせていただいています。「同期」の堀先生には農業指導を仰いだりもしています。そして何より生循環研究会。異分野の研究者が集まって「生循環」という概念を材料に熱い議論を行う場があります。誰の専門でもなく、誰もが専門家になる概念を作り上げるプロセス。それもまた1つの異分野コミュニケーションの形なのかもしれません。
生循環(http://biocyclology.wpblog.jp/)は年3-4回研究会を行っています
(えま ありさ)