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白眉プロジェクトでは月に2回「白眉セミナー」なるものが開かれますが、私は今でも、初めてこのセミナーに出席した時の「カルチャーショック」というべき感覚を忘れることができません。完全な異分野集合体が各々の学術テーマの可能性を熱く討論する場は私にとって極めて新鮮な、そして楽しい非日常でした。
そんな非日常から離れて、もう7ヶ月が経ちます。農学という、社会の実際と向き合っていく学術分野に身を置き、出身の京都大学農学研究科において、あいも変わらず幸福な研究生活を送らせて頂いております。私の専門は果樹園芸学。ブドウやモモ、カキ、ウメなどを扱う何とも美味しそうな学問ですが、それは、農場にて農地・樹体という環境を作るという努力から始まり、研究自体もいわゆるモデル研究(=一般性の追求)とは違った「常識に非ず(≠非常識)」を追いかける毎日です。また現在は、農学研究科にわがままを言わせていただき、カリフォルニア大学デービス校にて植物のゲノム進化やゲノムエンジニアリングに関わる研究にも携わるようになりました。やはり何かとプチ非日常を進んで追い求めているような感覚でして、わずかな時間であれ、白眉プロジェクトにおける非日常の経験は、今の自分にとって大きな道標になったような気がしています。
「ゴールドラッシュ始まりの町」プレイサービルにある研究所にて
今後、農学分野の研究者がこの白眉プロジェクトを目指してくれることで、より一層、広い見識と学際的な感覚を持った研究者が育ち、農学分野としても質の高い学術分野として成長できることを期待しています。その期待を私自身が裏切ってしまわないよう、自分を磨き続けていきたいな、立派になってリードしていかなきゃ、なんて…。そんな風に意識できる今の自分にして頂いた白眉プロジェクトと周りの方々に感謝を抱きつつ、非日常を追い求める日常を謳歌したいと思います。
(あかぎ たかし)