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学部から大学院、ポスドク、助教と京大育ちであった私にとって、初めて移籍した大学はなんと女子大でした。研究のみに没頭していたそれまでとは生活が一変し、講義やゼミ、学内業務などに追われる毎日ですが、それらも大変新鮮で大いに楽しんでいます。京都女子学園は別名「こころの学園」とも呼ばれるのですが、その学園名に相応しく教職員の方々も学生さんたちも素晴らしい方ばかりで、心が洗われるような毎日です。
2012年10月には、京都大学こころの未来研究センターに兼任の特任准教授として着任しました。同センターでは、世界初となる総合的ブータン研究拠点「ブータン学研究室」を立ち上げ、研究責任者として2名の研究員とともにブータンの仏教や文化などを研究しています。私がブータン研究を始めたきっかけは、白眉プロジェクト内定式の研究発表会の際に、「チベット仏教を研究しているならばチベット文化圏に位置付けられるブータン研究も行ってはどうか」というご助言を頂いたことによります。その後、白眉の1年間でブータン研究に没頭したことが、このブータン学研究室の開設という結果に繋がりました。
白眉センターに在籍したのは僅か1年間でしたが、この間に多くを学び得ました。新たな研究分野の開拓ができたことはもちろんですが、例えばセンター内の公用語が英語となったことで、英語でのメールの送り方から議論の行い方まで全てが勉強になりました。
また、これまで無縁であった理系の研究者たちと、互いの専門をぶつけ合いムリヤリ議論を行うことで、これまで考えもつかなかった発想を得るに至りました。こうした経験も、今後の研究者生活に大きな影響を与えてくれるものと思われます。そして何よりも、白眉で得た一番大きなものは、互いを高め合ってきたかけがえのない仲間たちです。これからも、彼らと互いに刺激を与え合いながら研究に邁進していきたいと思います。
こころの未来研究センターにて
左側から、安田研究員、吉川センター長、松下研究員、熊谷
(くまがい せいじ)