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貴重な誌面をいただき恐縮です。現在の職場は北部構内の東端に位置し、オフィスからは隣接する理学部植物園も見える緑豊かな環境にあります。当研究所は「教育機関」として理学研究科の大学院教育にも携わっており、所員は大学院生の指導や講義を担当したりもしますが、基本的には所員が日々研究に励む「研究所」なので教育関係の分担は少なめです。私もまだ講義の担当がなく、幸いにして白眉にいた頃に近い研究生活を送ることができています。とはいえ、組織運営に関する仕事や書類書きが確実に増えてきているので、日夜研究に没頭できる生活もそう長くは続かない予感がします。
桜の時期の数理解析研究所
数学者は傍から見るとぼーっとしてるだけで仕事しているように見えない、とよく言われます。私もデスクの横に貼ってあるバスの時刻表を見ながら帰り支度をするものの、ふと手が止まって考え事を始めると何台か乗り過ごしてしまうことがよくありますが、そうやって思索に耽る時間の積み重ねが成果に繋がるのです(ということでご容赦いただけますでしょうか?)。その点では、研究以外の職務を極力抑えた白眉は最高の環境でした。
白眉の思い出を語る上で外せない白眉セミナー。私は少しでも曖昧なことがあると気になってなかなか先へ進めないタイプなので(数学者としては悪くないはずですが……)セミナーは消化不良気味のことが多かったものの、それぞれ全く違った視点をもとに繰り広げられる議論にわくわくしつつ、こういう場での数学者の立ち位置って何だろうといつも考えていました。明確な答えが出ないままOBとなってしまった今、白眉プロジェクトが末永く存続することを期待して、周りの大学院生や研究者に精―杯応募を勧めています
(きしもと のぶ)