GL:グローバル型(従来型)
TT:部局連携型(卓越研究員型)
専門領域: 数論幾何学
研究課題: 混標数の幾何学による既約シンプレクティック多様体の数論の研究
受入先部局: 理学研究科
直前所属: 京都大学大学院 理学研究科
私の専門は,数論幾何学という,整数の性質を幾何学的背景から解き明かす分野です.数論幾何学の大きな問題意識に,方程式の整数解・有理数解を知るために,その方程式の定める図形の幾何学的性質を研究することが挙げられます.このためには.図形の「正標数還元」をとるというテクニックが非常に強力です.正標数還元とは,各素数pごとに定まる,方程式を「pで割った余りの世界」で考え直して得られる,いわば「素数による影」の様な図形であり,多くの情報を持っています.しかしながら,これらの影は元の図形とは住む世界が違い,その幾何学的な様相も大きく異なることが知られています.
私の白眉プロジェクトの研究では,既約シンプレクティック多様体という,興味深い対称性を持った図形について,近年急速に発展した混標数の幾何学を用いることで「正標数還元」の様子を調べます.更に,これらの研究を応用することで,より一般の図形の正標数還元の考察や,整数解の有限性を始めとした整数論への応用を目指します.