GL:グローバル型(従来型)
TT:部局連携型(卓越研究員型)
専門領域: 憲法
研究課題: 憲法上の権利の「前域」保障――「萎縮」からの憲法的保護
受入先部局: 法学研究科
直前所属: 慶應義塾大学大学院 法学研究科 後期博士課程(日本学術振興会DC2)
私が研究対象としている憲法学では、その重要課題の一つとして、個人の自由権の保護があります。こうした自由権には、表現の自由、集会の自由、信教の自由、職業の自由、などが含まれています。従来の憲法学では、一定の自由権行使の類型を禁止・規制することを自由への「介入」として論じてきました。しかしながら、近時、個人が自由権行使を控えてしまうような間接的・事実上の手段によって、憲法上の権利の行使可能性が縮減されていることが指摘されます。典型的には、「公共空間の監視」がこの例とされます。たとえば、ある集会に参加していることが監視され、記録されることが将来どのような不利益をもたらすか分からない個人は、集会に参加することを控えてしまうかもしれない。これを、憲法学では「萎縮効果」と呼び検討を行ってきました。自由権の行使がその「前域」において失われることを防ぐため、私の研究では「萎縮効果」を憲法審査に組み込むための理論的な研究を行います。