GL:グローバル型(従来型)
TT:部局連携型(卓越研究員型)
専門領域: 考古学
研究課題: 考古資料に基づいた漢対匈奴交渉と匈奴社会の解明
受入先部局: 人文科学研究所
直前所属: 国立民族学博物館
ユーラシア大陸の中央部には、西は黒海沿岸から東は大興安嶺にいたるまで草原地帯が続いています。草原地帯では草と水を追って季節ごとに一定地域を移動する遊牧が営まれてきましたが、この地で騎馬遊牧技術が普及し、騎馬遊牧民が登場するのは紀元前10世紀頃からです。草原地帯上の遊牧集団の動向は、互いに隣接する遊牧集団間のみならず、南に隣接する農耕・牧畜を生業基盤とする国家の興亡に関与してきたという点で重要といえます。しかしながらこの遊牧集団の歴史は、遊牧民が自らの歴史を文字で書き残すことが中世までは基本的になかったため、草原地帯西部ではヘロドトス『歴史』、東部では司馬遷『史記』を代表とする隣接地域の史料を通してみることになり、またその情報も限られるということが問題です。考古学は遺跡の調査を通して実物資料を得ることができるため、白眉の5年間ではモンゴル国での発掘調査を通して匈奴の実態を明らかにすることを目指します。