専門領域: 哲学
研究課題: 『形而上学を超えた日本の道程:京都学派と新プラトン主義』
私の哲学研究は、フランス現象学の伝統に根ざしています(メルロ=ポンティ、レヴィナス、アンリ、マリオン等々)。パリでアウグスティヌス(354~430年)について博士論文を完成させた後、「京都学派」の哲学に出会いました。すぐにこの学派の思想家に魅了され、日本に来る決心をしました。私の研究目的は、京都学派の哲学者と新プラトン主義との関係に注目し、彼らがどのようにしてこの西洋的伝統を自分たちのきわめて日本的な哲学の中に生かしていったかを解明することです。プロティノス(205~270年)に始まり、その後何世紀にもわたって西洋の哲学に多大な影響を与えてきた新プラトン主義が、西田幾多郎、田辺元、西谷啓治といった京都学派の主要な思想家たちに着想を与えていたという事実は、実に驚くべきことです。この研究を土台として、現代西洋の思想家が東洋の哲学を受容できる道筋をつけ、京都学派と現代哲学の対話を試み、欧米における京都学派研究の普及に努めたいと思います。