専門領域: 構造生物学
研究課題: 『タンパク質凝集性疾患におけるポリマーの動的形成と毒性の制御』
学生時代は食品科学を専攻し、「食と人間の関わり」から「タンパク質X 線結晶構造解析」まで、幅広く基本的な理論・技術を勉強しました。ポスドクとして研究室で働き始めた頃、思い悩んだのは「何を対象として研究することがその後の人生にとって最もエキサイティングであるか?」でした。結果、たどり着いたのが、タンパク質凝集性疾患メカニズムの研究でした。英国ケンブリッジ大学に留学し、肝硬変・肺気腫を引き起こすことで知られるα1- アンチトリプシンの細胞内凝集体は「分子間フォールディング」という新規なメカニズムにより形成されていることを明らかにしました。今後は、なぜ凝集体が毒性を発揮し疾患に至るか?理解を進めつつ、この新しい概念をもとに、プリオン病など、より一般的なタンパク質凝集疾患に潜む構造基盤の解明に取り組みます。