公開白眉セミナー:太陽系外惑星と宇宙生物学(2010年3月1日/村主崇行)

白眉プロジェクトには文字通りあらゆる分野の研究者が集まっているため、セミナーでは毎回全く違う分野の話が聞けて大変刺激的です。さて、4月のセンターの初顔合わせの時に、白眉セミナーはメンバーだけが参加するクローズド形式でも、一般参加を募るオープン形式でも、話題提供者の好きにしてよい、ということに決まりました。僕は自分の当番では何かでっかいことをやりたいと思っていたので、最後の方にしてもらったのですが、次第に、オープンセミナーで行こう、テーマは系外惑星・宇宙生物学で行こう、という決意が固まってきました。

準備は年明け早々から始まりました。1ヶ月前にはポスターを全学に掲示し、学部生の方の目にも届けられればと思っていたからです。僕が太陽系近傍の星々の地図をデザインし、惹句は皆で練りました。このポスターには人類が今日の困難と蝸角の争いとを乗り越え、いつかこの視座から銀河を眺めるまで、すこやかに育ってほしいという願いが込められています。

Webでも宣伝した甲斐もあり、会場は机が足りなくなるほどの来客でした。司会をしていて印象的だったのは一般参加者の方々が頻繁に質問していたことです。地球の他に宇宙に生命のいる星はあるのかという問い、地球に似た環境の惑星も、全然違う環境の星も無数にあるという不思議、系外惑星の地形や生命の兆候を観測できる日は近いかもしれないという希望、これらは僕たちの専門にとどまらず、ひろく共有されているのだと感じました。また質問への対応に際し、古代インドの宇宙観に関する質問には志田さんが、直接日照が全くない環境で育つ植物についての質問には塩尻さんが、 太陽とは異なるスペクトルの主星の光のもとで進化した光合成ネットワークの可能性に関する質問には前田さんが、と、白眉メンバーの多様性が遺憾なく発揮されていました。

今回のセミナーは大成功でした。これも準備・開催にあたって協力してくれたセンターの皆様をはじめ多くの方々、そして参加して頂いた皆様がいてこそです。ありがとうございました。

(村主 崇行・むらぬし たかゆき)